イラン代表戦の敗北から見えた課題
【写真:田中伸弥】
それでは2021年夏の東京五輪を戦っていた頃と全く同じではないか。FIFAワールドカップカタール2022は負傷者が出て、固定メンバーで戦えなかったから、最終的に入れ替えることになった。そして、同大会後の第2次森保ジャパン発足以降は選手層を分厚くするために、試合毎に選手を入れ替えてきたはずだった。
その成果が重要なイラン代表戦で出せないのは、やはり指揮官にとって町田や渡辺が信頼に足らない存在だったと見るしかない。ボランチの佐野海舟らにしても同様だろう。
今回は伊東と旗手が使えず、交代カードが不足していて、手詰まり感があったのは確かだ。ただ、イラン代表の蹴り込み作戦を跳ね返せるだけの人材はいたはずだ。もちろん世界最高峰の舞台で活躍している冨安や遠藤らに匹敵する選手がそう簡単に見つからないのは理解できるが、特定の選手に頼ったチーム作りから脱却しなければ、2026年のW杯でも今回の二の舞になるかもしれない。
冨安が強調したチームの勝利への熱量不足、守田が迷った選手の判断中心のボトムアップ式の戦い方、アズムンやソン・フンミンのような絶対的な個の不在など、日本代表の敗因は他にもあるが、今回の失敗を糧に改善策を見出さなければ、W杯優勝など夢のまた夢という状況になってしまう。
アジアカップの苦い経験を森保監督と選手たちはどう受け止めるのか。今後に生かすのか。いずれにしても、痛すぎるイラン代表戦の敗北から見えた課題は少なくない。
(取材・文:元川悦子【カタール】)
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