守田英正の悲痛な叫び「個で負けましたと言うのは逃げ」
異なるチームで戦う選手たちが短い期間で歩幅を合わせなければいけない代表チームだからこそ、守田は軸となる方針を希求し、「チームとしてやろうとしているスタイルがあったり、チームの哲学があったり、そこに差は必然的に出てくる」と言う。そういったベースがないと「これをしなかったこいつが悪いという深堀りができない。これが突き詰められない原因というか、どこが悪くて、誰のせいと言い切れないのが(日本代表という)チームの弱み」と言い切る。
チームとしてのベースが曖昧だからこそ、うまくいかなかったときの解決策もない。選手たちが試行錯誤して最適解を見つけ出す必要があるのだが、そこまで選手に任せるべきなのだろうか。ボトムアップといえば聞こえはいいが、意見を吸い上げているうちに時計の針は進む。対応に時間がかかればそれだけ穴は大きくなる。レベルが上がれば上がるほど、その小さな穴が致命傷になることを、守田をはじめとする世界最高峰の舞台で活躍する選手たちは知っている。
チームの抱える問題を守田なりに解釈しつつも、最終的には個の問題に帰着させた。「捉え方ですけど、僕がもっと当たり前にターンして顔を上げてボールを蹴れたらおしまいなんで」。ただ、それだけでは限界があるのも事実。サッカーは戦力の足し算で勝敗は決まらない。スター選手を揃えれば勝てるのであれば、ブラジル代表はもっとFIFAワールドカップを制しているだろう。
「そういう選手が世界のトップには当たり前にいるし、そこは真摯に受け止めないといけない」と守田が言うように、個のレベルアップが必要であることに変わりはない。一方で、「チームとしてどう動かしていくかというのは明確にしないといけないですし、それがないのに個のところで負けましたと言うのは逃げだと思う」と問題の本質を指摘している。
言葉を慎重に選びながら、守田自身が感じるチームの問題を明かしてくれた。自身の評価を二の次にしてまでチームのために動き続けた守田の悲痛な叫びを、日本代表は無駄にしてはいけない。
(取材・文:加藤健一【カタール】)
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