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采配に疑問…。サッカー日本代表の敗因とは? 「苦手な戦い」にベンチは何もできず【西部の目/アジアカップ2023】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

完全に裏目…。伊東純也の離脱が痛かったとはいえ…


 28分、守田の縦パスを受けた上田綺世が背後からのチャージに耐えて守田へ返し、守田が半ば強引に中央を突破して先制。その後も久保建英がライン間で受けて相手DFを引っ張り出し、裏を狙う攻撃は有効だった。しかし、日本代表の最大の強みであるはずのサイド攻撃に今ひとつ威力がない。

 伊東純也の離脱が痛かったとはいえ、右ウイングに久保を起用することはできた。相手にとって最も脅威になるはずの久保、三笘薫の両翼を温存したために、追加点を奪えそうな迫力を出せなかった。前半はある程度膠着しても、後半途中で三笘と南野拓実を投入して勝負をつけるつもりだったのだろう、しかし、後半は完全にイラン代表に流れを持っていかれたので、結果論ではあるが前半の膠着上等策は裏目に出てしまった。

 24分に板倉がイエローカードを貰ったのは微妙な影響を与えたと思う。負傷の影響もあったのか精彩を欠いた。39分に処理ミスからシュートへ持っていかれたのは後半の伏線ともいえる。

 40分あたりからイラン代表はビルドアップでMFを落として3枚回しとし、フリーを作ってロングボールを蹴り始める。日本代表は一時撤退してミドルゾーンに構え、前半を1-0で折り返した。攻撃の迫力に欠けていたとはいえ、ここまでの流れは悪くなかった。

 後半、イラン代表はロングボールのターゲットを板倉に定め、こぼれ球を拾っての二次攻撃やハイプレスを狙う。50分、アズムンが板倉と入れ替わってシュートするがGK鈴木彩艶がストップ。アズムンはオフサイドだったが象徴的な場面だった。

 55分、アズムンが冨安を背負ってターンし、モハメド・モヘビへ絶妙のラストパス。モヘビが決めて1-1となった。得点自体は見事な個人技と連係によるものだが、きっかけはGK鈴木からのロングボールをカットされたところから。日本代表が相手の圧力をパスワークで外し切れなかったことが遠因といえる。

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