クロップ監督が去るリバプールの未来は明るいのか
昨年の冬の時点では7位に沈み、一つの時代の終わりを感じさせ、解任の危機に晒された。普通ならこのシーズンで解任あるいは、退任することになる。しかしクロップのリバプールは脅威の粘り強さを見せて、シーズン終盤にはリーグ戦で破竹の7連勝。チームに再び火を入れることに成功した。
23年の夏の補強でも、中東からの引き抜きというイレギュラーな要素があったとはいえ、レッズは中盤の総入れ替えにも成功する。また最終ラインに関しては24歳のフランス代表DFイブラヒマ・コナテや、21歳のイングランド人DFジャレル・クアンサーなど、プレミアでも通用する若手〜中堅のDFを台頭させた。
前線に関してエジプト代表FWモハメド・サラーの後任者不在という問題こそあるが、まだ31歳で少なくとも先2〜3年は稼働が見込める上に、ファン・ペルシーとは違って怪我をほとんどしない。また前線はスカッドが厚いので大きな問題になりにくい。
こう考えると明るい未来が見える状態での退任であり、さすがクロップという引き際である。本人も「スカッドのポテンシャルが上がってきたから、辞めることを決意した」と語るだけのことはある。
もちろん二つの時代を厳密に比べることは出来ない。とはいえユナイテッドの苦しみも見てきた筆者として、今回の退任タイミングは、間違いなくベターであり、悪くないものに思えた。
所属クラブにリスペクトして誰とは言わないが、ちょうど獲得したいと思える優秀過ぎるOB監督が台頭したタイミングということもあり、なおさらである。
(文:内藤秀明)
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