改善ではなくリセット
堂安は「ワールドカップでできていたことを、なぜアジアカップでやらないんだ」、冨安は「シンプルにやるべきことをやっていないから結果も内容も伴わない」と2試合を厳しく指摘する。つまり、インドネシア代表戦の日本代表が見せたのは成長ではなく、これまでの復習であり、リセットともいえる。選手たちは十分にこの事実を理解しているようだが、この結果だけで日本代表がアジア制覇に近づいたと言うことは到底できない。
FIFAワールドカップカタール2022後の日本代表で目立つのは積極的なターンオーバーである。今大会もそれは例外ではなく、インドネシア代表戦ではイラク代表戦から先発メンバーを8人変更している。遠藤航、鈴木彩艶、久保建英を残し、最終ラインは4人をそっくり入れ替えている。森保一監督は「ターンオーバー」という表現を使わず、「26人の戦力がいる」と主力と控えを分けないことを強調していた。
2019年の前回大会やワールドカップを経験した森保監督は、自身の采配について「度胸がついた」と話す。度胸とはつまりリスクを負う采配のことだろう。メンバーを替えることは常にリスクを伴い、アルベルト・ザッケローニ元監督のようにメンバーを固定する監督もいたが、今の森保監督にそういった考えはない。
一方で、初戦から第2戦で日本代表は先発メンバーを2人しか変えていない。一戦一戦メンバーを替えてきた昨年とは対照的な采配について、森保監督は敗れたイラク代表戦後にこう話している。