日本代表がイラク代表のロングボールに苦しんだ理由
「イラクはロングボールによる組み立てをしっかりと準備してきていたのでしょう。ボールを蹴り込むキッカーが正確なボールを蹴っていたことからも、その準備に対する労力を感じさせました。このような相手の狙いに対して、ある程度思いどおりにプレーさせてしまったがために苦しい試合になったのは明白です」
今後の相手も日本対策として同様にロングボールでの組み立てを狙ってくる可能性があるなか、アレックスには気になるプレーがあったという。
「イラク戦にかぎっては大半がリスタートからのロングボールで数は少なかったのですが、ディフェンスラインの裏へ蹴り込む選手がノープレッシャーだった場面がありました。チームとして前からプレッシングにいく時間帯と引いてブロックをつくる時間帯がありますが、どの状況や時間帯でどうするのかというチームの意思決定に迷いが生じてしまい、ボールホルダーへのプレッシャーが甘くなってしまう時間帯ができたのではないかと考えています。そういったコミュニケーション不足によって守備方法を統一できていない隙を突かれて、前線へつけるパスを自由に許してしまっている印象でした」
加えて、ロングボールの処理自体にも問題があったことを指摘している。
「イラク戦ではロングボールへの弱さも露呈しました。単純に、空中戦の競り合いだけの話ではありません。イラク戦では相手FW1人に対して日本はセンターバックの2人が見ている状態でしたが、それでもそのFWにボールが収まるシチュエーションが何度か起こっていました。局面でいえば、数的優位の状況にもかかわらず相手ボールになることが問題です。加えて、セカンドボールの対応にも問題がありました。選手間の距離が遠かったのですが、特に遠藤航と守田英正の2人とディフェンスラインの距離が離れていたために、ディフェンスラインでのデュエルによってこぼれたセカンドボールを回収できず、出足の早い相手のボールとなっていました」