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日本代表 10か月前

「王道型としては腰引け」サッカー日本代表の勝利が参考にならない“例外”である理由【西部の目/アジアカップ2023】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by AFC

この勝利は「今後の参考にはならない」



 この試合で「良い攻撃からの良い守備」が実現したのは、多分に相手との力関係によるものだ。インドネシア代表は5-3-2または5-4-1のブロックで迎撃しようとしたが、引きすぎてしまった。さらにイラク代表のような強力なターゲットマンもいないため、日本代表の守備ブロックをスキップするロングボールによる反撃も有効ではなかった。

 ラウンド16からのノックアウトステージでは、イラク代表のように日本代表に「良い守備」をさせない戦法を相手が仕掛けてくる可能性がある。そのときに、いかに修正して「良い守備」を実現できるかがポイントになりそうだが、インドネシア代表戦の再現は難しいだろう。現在の日本代表は基本的に相手にボールを持たせたほうが良いプレーができる体質だからだ。

 インドネシア代表戦でも、8割近く保持していたわりにはそこまで多くの決定機を作れていない。崩せるようになったのは後半に相手が前に出てきて、カウンターアタックを打てるようになってからだった。

 また、押し込んでからのハイプレスも敵陣で奪いきる構造になっておらず、ミドルプレスを再構築できるようにしている。これは「良い守備」が前提の日本代表の戦い方としては理にかなっているのだが、王道型として押し切るには腰の引けたハイプレスであり、間延びした瞬間にロングボールで反撃される要因にもなっている。

 インドネシア代表戦の勝利は王道型だったが、アジアでも保持とハイプレスで押し切れる力は現在の日本代表にはなく、それが得意でもない。前回大会の「塩試合」を思い出し、「良い守備からの良い攻撃」に徹するのが上策と思われる。インドネシア代表戦の勝利は、日本代表が課題を克服したというより、力量差ゆえの例外的な勝ち方であり、あまり今後の参考にはならないだろう。

(文:西部謙司)

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【了】

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