「ああいう状況でどう変えていくか」
左サイドバックの伊藤が「(ゴール前に)枚数が揃っていても、イラクの選手は大きいし、空いているスペースがなかった」と話すように、イラク代表戦ではクロスがなかなか効果的なチャンスにつながらなかった。
その原因について「何度か押し込んだ状態で停滞してしまっていたが、クロスボールは距離感やタイミングもあるので、アグレッシブにやった方がいい」と言う。質を上げるためにはクロスを上げる場所と、狙う位置をすり合わせていく必要がある。「ライン際から上げても(相手に)対応する時間がある。マンチェスター・シティのようにボックス内の深いところまでえぐれば選択肢も生まれるし、チャンスは増える」と話した。
前線の選手が高い位置からプレッシャーをかけていくのであれば、簡単にロングボールを蹴らせてはいけない。さらに、最終ラインは高い位置に押し上げなければ全体が間延びし、中盤の選手がボールを回収できなくなる。
失点パターンは異なるものの、2試合で4失点を喫した守備は改善の余地があるだろう。ディフェンスリーダーとしてチームを統率する役割を求められる板倉は、修正力の必要性を感じている。
「ああいう状況でどう変えていくか。試合後に映像を見たら簡単に(修正点は)出てくるけど、いかにああいう難しい時間帯に試合の中でコミュニケーションを取ってやっていくかが大事」
取材を重ねていくことで感じるのは、日に日に選手たちの話す言葉に具体性が帯びてきたことである。伊藤は「負けたことで改めて課題も出て、チームとしてもう1回、自分たちがやってきたことをやろうと。リセットできたので、基本的なことをやっていければいいと思う」と話す。新たな問題が見つかったというよりは、今までできてきたことができなくなったので、その原因を突き止めて改善しようというフェーズに見える。
不幸中の幸いは、イラク代表戦がノックアウトステージではなかったことだ。首位通過の可能性はなくなったが、グループステージ突破に向けて第3節に臨む。「イラクに負けて終わったわけではない。ディティールを突き詰めることは、今まで通り変わらずやっていきたい」(板倉)。日本代表はアジア制覇という目標に向けて改善を進めていく。
(取材・文:加藤健一【カタール】)
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