「遠藤航のように…」決して途切れない古巣との絆
自分でこれだと決めたからには、もう振り返らない。前だけを見つめる。完全移籍会見で以前から大切にしてきた思いを明かした齊藤は、元気になった自分を見せたい対象をさらに広げた。
「ピッチを離れたときに、本当に多くの人に自分は支えられているんだ、とあらためて感じています。そういう人たちの心を動かすようなプレーをする自分を、これからも目指していきたい」
カタールで開催されているアジアカップでは、ポーランドで日の丸を背負って共闘した鈴木彩艶、菅原由勢、伊藤洋輝、そして中村敬斗が森保ジャパンの一員としてアジア王者を目指している。彼らに続いて瀬古歩夢や小林友希、藤本寛也、斉藤光毅、田川亨介もヨーロッパへ戦いの場を求めている。
「未月はもともと海外志向が強かったし、日本代表入りも目指していた。そうした思いのなかで、ちょっと遅咲きになっちゃうけど、(遠藤)航のようにステップを踏みながらもう一度、という意思はいまも強いと思っています。そのためにも神戸で焦らずに、じっくりとやっていってほしい」
眞壁会長は目を細めながら、今月10日に25歳になったばかりの齊藤へ再びエールを送った。完全移籍で旅立っても、湘南というクラブとの間で育まれてきた絆は永遠につむがれる。眞壁会長をはじめとする、湘南に関わるすべての人々が神戸の地へ送る熱い想いが、2度の手術をへて、歩くといった日常生活では松葉杖もほぼ必要なくなった齊藤の完全復活を力強く後押ししていく。
(取材・文:藤江直人)
【関連記事】【一覧】Jリーグ移籍情報2024 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退
あの夜、齊藤未月が涙したわけ。湘南・曹監督が導いた真の姿。U-20W杯主将の覚悟
「齊藤未月のことを思えば…」ヴィッセル神戸がプレーに込めた同僚へのメッセージ【コラム】
【了】