齊藤未月のプライド「そこが未月っぽい」
「何だか世間でよく言われているような、智(山口智監督)が未月をプレイヤーとして評価していないとか、そういったことではないんです。まったく違いますよ」
眞壁会長は苦笑しながら齊藤に関する記憶をたどり、意外な理由を明かしてくれた。
「ポルトガルのクラブとルビン・カザンが選択肢としてあったなかで、未月本人がカザンを選んだときに、ちょっとカッコよく『大成するまでは湘南には戻らない』とか『ちゃんと移籍金を残せるような結果を向こうで出してきます』とみんなの前で言っちゃったんですね。そうした経緯に加えて、怪我をして戻ってきたときには同じポジションで聡(田中)も伸びてきて、といった状況でガンバからオファーがあった。未月本人も外に出ていろいろな空気を吸いたいというか、勉強したいという意思も強く、その延長線上で神戸に、という感じですね。豪語して出ていった責任は自分で取る、何の結果も出さずに湘南に戻るわけにはいかない、と。未月のプライドを感じさせるというか、そこが未月っぽいですよね」
前例のない大怪我を必死に乗り越えようとしているいま、神戸と結んだ3年プラス、オプションという長期契約とともに、図らずも齊藤が望んでいた移籍金を残して湘南を旅立つ状況が生まれた。
「ピッチの上で大好きなサッカーをしている姿を、家族やチームメイト、そしてファン・サポーターに見せ続けていきたい、という思いが、僕自身がサッカーをしている最大の理由です。これを念頭に置きながら、よりパワーアップした自分を目指しながら、これからの日々を過ごしていきたい」