「思いをかなえてくれるのはヴィッセル神戸」
「育成から育ってきた湘南ベルマーレから移籍するのは、僕自身、特別な思いがあります。ただ、いつも自分の心に置いているのは、変化を恐れず、現状維持はせず、どんな変化もチャレンジだと見なして、その結果がどうであれやり続けていくのが自分の考えであり、その思いをかなえてくれるのが、いまはヴィッセル神戸だと思っています。強い思いを持ってここに来ていますけど、多くの方のサポートがあって実現したものであり、決して一人では成しえられなかったと思っています」
齊藤の意思を尊重しながら、結果として完全移籍を後押しした眞壁会長はあらためてこう語る。
「怪我を完治させて、復帰を目指していく上で、未月がストレスを感じない環境を選ぶのが最も大事だと思っていました。向こう(神戸)のメディカルスタッフにも信頼を置いているみたいだし、そうした状況で本人が神戸への完全移籍を選ぶのであれば、われわれとしてもすごく納得がいくものでした」
湘南としてもアカデミーで心技体を磨き続け、2019年5月から6月にかけてポーランドで開催されたFIFA・U-20ワールドカップでは日本の「10番」を背負い、キャプテンも務めた逸材を完全移籍で手放すのはあまりにも惜しい。それでも最後はプレイヤーズファーストの方針を貫いた。
もっとも、ここで素朴な疑問が頭をもたげてくる。ルビン・カザンを退団し、復帰した齊藤は2022シーズンにガンバ大阪へ、昨シーズンには神戸へ期限付き移籍を繰り返したのはなぜなのか。