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Jリーグ 10か月前

「責任は自分で取る。それが未月っぽい」齊藤未月、ヴィッセル神戸完全移籍の真相。なぜ湘南ベルマーレは手放した?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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 1月12日、湘南ベルマーレが保有する齊藤未月が、ヴィッセル神戸に完全移籍することが発表された。なぜ齊藤は10歳から在籍する湘南を離れる決断を下したのだろうか。複数回に及ぶ期限付き移籍、復帰に1年を要する怪我、そして完全移籍に至る過程を、関係者の証言をもとに追っていく。(取材・文:藤江直人)


「ヴィッセル神戸で結果を出し続けた方が絶対にいい」


【写真:Getty Images】

 開幕前の下馬評を覆す快進撃とともに、ヴィッセル神戸がJ1リーグ戦の優勝争いをけん引していた昨年の暑い夏。湘南ベルマーレの眞壁潔代表取締役会長は、神戸が掲げる新たな戦い方、ハイプレス&ハイインテンシティーを体現していた齊藤未月と会話を交わす機会を持った。

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 湘南から神戸へ期限付き移籍していた齊藤へ、眞壁会長は「今シーズンはすごく調子がいいね」と目を細めながら、キャリアハイの数字を残す勢いを見せていた中盤のダイナモの背中を押した。

「海外のスカウトも見に来ているみたいだし、このまま神戸で優勝争いをしていって、海外へもう一度チャレンジしてみろ。ウチに戻ってくる必要もないし、それが一番いいと思う」

 充実感を漂わせながら「そのつもりです」と答えた齊藤に、眞壁会長はさらにエールを送った。

「代表入りしようと焦るよりも、神戸で結果を出し続けた方が絶対にいい」

 8月19日の柏レイソル戦で齊藤が負傷退場。左膝に全治約1年という大怪我を負ったと神戸から発表されたのは、会話を交わしてから「1カ月くらい後だった」と振り返る眞壁会長は心を痛めた。

 齊藤は2021年2月にも、湘南から期限付き移籍したロシア・プレミアリーグのルビン・カザンでの練習中に味方と接触。右足首靱帯損傷で手術を受け、約4カ月にわたって戦列を離れている。

 湘南を通じて「これから先の自分の目標のために、今回の移籍はとても重要だと感じています」と決意を表し、新天地へ挑んだ直後に見舞われたアクシデント。出場資格のあった同年夏の東京五輪代表入りを逃し、ルビン・カザンも在籍1年、リーグ戦出場わずか2試合で退団せざるをえなかった。

 そうした経緯もあるからこそ、眞壁会長も「メンタル的には相当に大変だったと思う」と齊藤の胸中を慮った。しかし、いい意味で予想を裏切られた。柏戦の翌日に電話を入れたときだった。

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