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日本代表 10か月前

「分かっていたのに…」サッカー日本代表は無策だった。研究され封じられた武器【アジアカップ2023現地取材コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

アジアを制覇するために克服しなければいけない課題



 後半になって伊東が左に移動し、右に久保、トップ下に南野という配置になって、ようやく左右両方から仕掛けられる状況にはなった。相手もペースダウンし、途中から4バックを5バックへと変更。より人数をかけて守るようになった。そこで堂安と上田綺世が登場。18分には守田英正とのいいコンビネーションから堂安が決定機を迎える。29分には左の伊東と絡んで堂安がシュートを打ちに行くなど、得点意欲を前面に押し出し、攻撃を活性化させた。

 だが、結局のところ、一矢報いるゴールを奪ったのは、リスタートからの遠藤航のヘディングだけ。流れの中から点を取ることはできず、日本代表は手痛い1敗を喫した。タイムアップの笛が鳴り響いた瞬間、イラク代表は日本代表がカタールW杯でドイツやスペインを下した時のようにお祭り騒ぎ。優勝候補筆頭の強敵から白星を挙げたのだから、盛り上がりのも頷ける。

 日本代表にしてみれば、入念な対策を講じてくるタフでアグレッシブな相手からどうゴールを挙げ、勝ち切るかという課題を改めて突きつけられる形になった。こういった戦いをしてくるのはイラク代表だけではない。24日のグループ最終戦・インドネシア代表戦で勝ってラウンド16に進んだとしても、難しい状況が続くはず。その段階になれば三笘が復帰してくると見られるが、サイドでの個の打開力だけを頼りにしていたら、同じ轍を踏みかねない。短期決戦の期間内に劇的な解決策を見つけるのは簡単なことではないが、それをやらなければ5度目のアジア制覇は不可能だろう。

 伊東、三笘の縦への推進力頼みの攻めから脱却し、複数人が絡みながら多彩な崩しを見せ、得点する形を作れるか否か。それが日本代表の今後を左右すると重要命題になるはず。追い込まれた今こそ、底力を発揮してほしいものである。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

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【了】

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