2位:韓国代表
【写真:Getty Images】
監督:ユルゲン・クリンスマン
FIFAランキング:23位
戦力値平均:8.0(攻撃力9、守備力9、采配6)
韓国代表は2022年に行われたカタールワールドカップでグループステージを突破。決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に1-4の大敗を喫したが、2010年の南アフリカ大会以来のベスト16入りを果たした。
この快挙に導いたパウロ・ベント監督は大会終了後に退任し、後任にはドイツ代表とアメリカ合衆国代表を率いた経験のあるユルゲン・クリンスマンが就任。「アジアカップで優勝したい」と明言したドイツ人指揮官だが、就任から5試合連続で未勝利と結果を残せず、国内メディアから強い批判を浴びた。その後は6連勝と立て直しているが、完全にネガティブな意見を取り除けているわけではない。
韓国メディアがこれだけ監督に対して批判をするのは、選手に対する絶対的な信頼への裏返しである。「攻撃力」と「守備力」の戦力値をそれぞれ「9」としたようにタレントはアジア随一だ。まずは攻撃陣に注目すると、プレミアリーグでアジア人史上初めて100ゴールを達成したソン・フンミン(トッテナム)を筆頭にファン・ヒチャン(ウルブス)やイ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)ら欧州トップリーグの第一線で活躍する選手が名を連ねている。
しかし、この「攻撃力」の戦力値「9」が本番で発揮できるかどうかわからない。今季プレミアリーグで10ゴールを決めているファン・ヒチャンが左臀部の筋肉疲労のため開幕から数試合を欠場する恐れがあり、背番号10のイ・ジェソン(マインツ)も10日のトレーニングで打撲の怪我を負った。クリンスマン監督のチームは強力FW陣に自由を与えることで攻撃を成立させており、仮にこの主力2選手のコンディションが整わないとなれば、主力と控えの能力に差がある分、攻撃の質も落ちる。そのため「9」ほどの「攻撃力」が発揮されないというケースも大にして考えられる。
一方の守備はアジア史上最高のCBという呼び声もあるキム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)を軸に、Kリーグ王者のCBコンビで元Jリーガーのチョン・スンヒョン(蔚山現代)やキム・ヨングォン(蔚山現代)の両名も健在だ。特にキム・ミンジェはフィジカルと守備の技術がアジアの中では頭一つ抜けており、1人でピンチの芽を摘むことができるクオリティの持ち主だ。その市場価値はアジア人選手で日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)に並んで1位タイの6000万ユーロ(約84億円)と実力は折り紙つきだ。
アジアでもトップクラスの戦力を抱えながら今回のランキングで2位に留まったのは、「6」としたクリンスマン監督の「采配」で多くの不安を抱えているためだ。このドイツ人指揮官はアメリカ合衆国を率いた2014年のブラジルワールドカップでベスト16に導いたが、これは戦術的に優れていたというよりも、自らのネームバリューを駆使して二重国籍の選手を軒並み代表に連れて来たマネジメント面での活躍だった。ピッチ上において、攻撃面に関しては放任主義なため、優勝できるかどうかは選手たちのコンディションに懸かっている。