5位:カタール代表
【写真:Getty Images】
監督:ティンティン・マルケス
FIFAランキング:58位
戦力値平均:7.3(攻撃力9、守備力6、采配7)
開催国カタールは2022年に行われた自国開催でのワールドカップにて屈辱のグループステージ敗退を喫した。AFCアジアカップ2019では日本代表を下して優勝という最高の結果を残していただけに、同国史上初のワールドカップは悔しいものになったに違いない。
その後カタールはブルーノ・ピニェイロ暫定政権を経て、23年2月にポルトガル代表とイラン代表で計3回のワールドカップ出場経験があるカルロス・ケイロスを新監督に招聘している。しかし、イラン代表に0-4のショッキングな敗戦を喫するなど結果を残せず、ワールドカップのアジア二次予選が始まった直後の昨年12月に事実上の解任という形でカタール代表監督の職を辞した。
急転直下の監督交代となったため、後任に就任したティンティン・マルケスは、ほぼぶっつけ本番で自国開催のAFCアジアカップ2023に臨むこととなった。その中で「采配」を「7」としたのは、彼が2018年1月から2023年12月までアル・ワクラの監督を務めていた経験からくるものだ。カタール代表の大半の選手をこれまで「敵」として見ていたスペイン人指揮官は、選手の個性を理解している。準備期間はほぼないため、自らの戦術的な色を濃く出すというよりは、選手の能力が最大限に発揮されるシンプルなものになると予想する。
その中でチーム最大の武器となるのがアジアトップクラスの「攻撃力」だ。今大会屈指と予想し、戦力値は全チームで2位タイの「9」をつけている。中でも注目なのが前回大会の得点王アルモエズ・アリ(アル・ドゥハイル)である。27歳にしてカタール代表の最多得点記録を更新し続ける男は、2019年大会の決勝で日本代表を大いに苦しめた。抜群の身体能力で強引にゴールを決めきる力を持っている彼を筆頭に、2019年のアジア年間最優秀選手に輝いたアクラム・アフィーフ(アル・サッド)ら好タレントがひしめく。
一方「守備力」の戦力値は「6」と平均的なものとした。マルケス新監督がどれだけ守備を立て直すことができるかどうかは未知数だが、2023年に行われた17試合で無失点が5試合しかなかったことを踏まえると、決してディフェンスが得意なチームとは言えないだろう。その中でカギを握りそうなのが、昨年11月にカタールへと帰化したばかりのブラジル出身DFルーカス・メンデス(アル・ワクラ)である。かつて名門マルセイユで主力を務めた時期もある同選手は、マルケス監督のもとで100試合以上プレーしたことがある教え子で、弱点の守備を補う存在として今大会のキーマンとなる可能性が高い。
カタール代表はマルケス監督就任後にカンボジア代表、ヨルダン代表と強化試合を行ったが、いずれも非公開での試合だったため具体的にどのようなサッカーで戦うかは未知数だ。相手からすれば対策がしづらい状況の中で、アジアカップ2連覇を成し遂げることができるのだろうか。