6位:UAE代表
【写真:Getty Images】
監督:パウロ・ベント
FIFAランキング:64位
戦力値平均:7.0(攻撃力6、守備力8、采配7)
2022年2月から指揮を執ったロドルフォ・アルアバレーナ監督のもとで、UAE代表は4勝3分7敗と大きく負け越していた。中でも酷かったのが昨年1月に開催された中東8ヶ国で行われるガルフカップで、バーレーン代表とクウェート代表に敗れたことでまさかのグループステージ敗退を喫した。
この不甲斐ない結果を受けてUAEサッカー協会は監督交代を試み、2023年6月にカタールワールドカップで韓国代表を率いたパウロ・ベントを新監督に招聘。直近の1月6日に行われたオマーン戦こそ敗れたが、それまでの6試合で全勝とUAE代表は監督交代で生まれ変わった。
この躍進の原動力となっているのが戦力値で「8」とした高い「守備力」だ。ベント政権での7試合では3失点しか喫しておらず、複数失点のケースがない。この堅守に欠かせないのが「共有力」である。最終ラインの平均年齢は22歳から26歳で構成されており、年代別代表から一緒にプレーしてきた選手たちがそのままA代表の主力に定着している。日本代表や韓国代表のように欧州の最前線でプレーしている選手はいないが、何年も同じメンバーで戦ってきたからこそ生まれる「連係」で堅い守備を築き上げた。
限られた戦力で最高の働きをみせるディフェンスに対して、「攻撃力」の戦力値は「6」とした。UAE代表の最多得点記録(85ゴール)保持者である33歳のベテランFWアリ・マブフート(アル・ジャジーラ)は健在で、今季もリーグ戦10試合で8ゴール5アシストと大活躍中だ。それでも平均値に留まったのはタレントを持て余しているからだ。
2020年にブラジルから帰化したファビオ・リマ(アル・ワスル)はUAE国内でマブフートと双璧となっている。現在8シーズン連続でリーグ戦2桁ゴールを達成中で、市場価値はUAE国籍の選手でダントツ1位の600万ユーロ(約8.4億円)を記録。しかし、このリーグ屈指のアタッカーは現在3試合連続でベンチと出番がなく、ベント監督の中で序列が低くなってしまっている。
現状ではリマを自らの戦術にフィットさせることができていないポルトガル人指揮官だが、「采配」は「7」と高く評価した。先述した通り、FIFAランキングで下回るチームに敗れるなど近年苦しんでいたUAE代表を蘇らせた手腕はさすがで、何よりも前職の韓国代表での実績が優れた監督であることを証明している。ベントは頻繁に監督交代することで知られる韓国代表で、史上初めてワールドカップからワールドカップまでの4年間を務めあげた。これは快挙に等しく、UAE代表でも同じように長期的な観点から強化が期待されている。その中で最初に迎える国際大会で、ベント監督率いるチームは目に見える結果を残せるだろうか。