最大のストロングポイント「自分なりの奪い方がある」
国立競技場内で行われたアジアカップ代表メンバー発表記者会見。山本昌邦ナショナルチームダイレクターともに出席した森保監督が選んだ26人のメンバーのなかに、代表チームの常連と言っていい鎌田大地、古橋亨梧、そしてタイ戦で先制点を決めていた田中の名前がなかった。
特に田中はボランチのなかで、キャプテンの遠藤航、守田英正に続く位置づけの選手だった。鎌田もトップ下だけでなくボランチでプレーできる。昨年のカタールワールドカップ代表にも名を連ねた2人が外れたなかで、タイ戦に引き続いて選出された佐野の序列が一気にはね上がった。
アジアカップで代表復帰を果たした、ユーティリティープレイヤーの旗手怜央もボランチでプレーできる。センターバックの谷口彰悟もアンカーで、板倉滉もボランチやアンカーでプレーした経験がある。それでもボランチを主戦場にする佐野が、一気に遠藤と守田に次ぐ存在になった。
鳥取県の強豪・米子北高から2019シーズン加入したJ2のFC町田ゼルビアで、そして昨シーズンにステップアップを果たした常勝軍団の鹿島アントラーズで、佐野は「相手ボールを奪うプレーが、自分の一番のストロングポイントだと思っています」と公言してはばからなかった。
昨年2月の開幕からボランチのファーストチョイスを担い、武器と自負するボール奪取力を介して存在感を放ち続けた鹿島でのプレーが森保監督の目に留まった。A代表のラージリストに加えられた佐野は、伊藤敦樹が怪我で辞退した昨年の11月シリーズで初めて招集された。
さらに腰痛を訴えた鎌田が交代を申し出てきた、同16日のミャンマー代表とのワールドカップ・アジア2次予選の後半開始ともに国際Aマッチデビュー。風雲急を告げる展開でも見せた、鹿島と変わらないプレーを森保監督も高く評価し、タイ戦へ臨む代表メンバーに引き続き招集された。
ボール奪取力を武器とする点で、代表では遠藤を想起させる。佐野も「僕も見本にしています」と新天地リバプールでも代役の効かない存在となった遠藤へ言及しながら、さらにこう続ける。
「ただ、自分なりの奪い方があるので。自分の像というものをしっかりと作っていきたい」
ブンデスリーガのシュツットガルトで、球際の攻防で無類の強さを誇った遠藤はデュエルキングと畏怖され、森保ジャパンでも異彩を放つ存在になった。身長178cm体重76kgの遠藤に対して、佐野のサイズは176cm67kg。体の厚みさらに増やす過程にあるからか。佐野は自分自身をこう分析する。