「今季のガンバ大阪は一味違う」と感じさせたシーン
【写真:Getty Images】
「攻守両面において、圧倒的に支配するサッカー」。ポヤトス監督がシーズン序盤から一貫して口にしてきた方向性である。
フォーメーションは4-3-3を新たに採用。ワールドカップカタール大会にチュニジア代表として出場したイッサム・ジェバリや初のイスラエル人Jリーガーとなるネタ・ラヴィ、更にはパリ五輪世代の半田陸を獲得するなどクラブの本気度を感じさせる補強もあって、期待度が高まったシーズン開幕前、「サッカーの道筋や方向性は見えているので、あとはどれだけ表現できるかどうか」と宇佐美が言えば、「ポヤトスチルドレン」の一人として今季台頭した山本悠樹も「ガラッとサッカーのやり方も変わって、監督の言っていることも分かりやすい。後はJ1でどこまで勇気を持ってやれるかが大事。僕個人は元々、得意だったことを思い出させてもらっているし、自分に合うサッカー」と言い切っていた。
柏レイソルとの開幕戦でGKを東口順昭でなく、湘南ベルマーレから期限付き移籍を終えて復帰した谷晃生を先発に抜擢したことからも分かるように、開幕からガンバ大阪が目指したのは後方から丁寧にボールをつないで相手ゴールに迫るスタイル。絶大な効果はあったものの、苦しくなればパトリックへのロングボールでしのいできた前年までとは180度異なる戦い方だけに、ドロー発進した柏レイソル戦以降、いきなりチームは長いトンネルに入り込む。
三浦弦太とクォン・ギョンウォンのCBコンビはビルドアップでスムーズさを欠き、ウイングまで狙い通りの形でボールを動かしながらも、個の打開力を欠いたことで攻撃は停滞。とりわけシーズン序盤に目立ったのは、自陣での組み立てでミスを犯し、自滅的な失点を繰り返したことである。
もっとも、今季のガンバ大阪は一味違う、と早々に感じさせた一戦があったのも見逃せない。
第5節の北海道コンサドーレ札幌戦は2点を追う展開から2対2のドローに持ち込んだが、ポヤトス監督が本来目指すスタイルが2得点に凝縮していたのだ。
「自分自身は支配するスタイルが好きだし、そのためにはボールを持つ、そうすることで試合をコントロールする感触を得られる」と公言するポヤトス監督ではあるが、単なるパスサッカー原理主義者では決して、ない。
「どこにスペースが生まれるのか、どこにスペースを作り出すのか」(ポヤトス監督)。
札幌戦は最終ラインからラヴィを経由して、左右双方のサイドを崩し切り、華麗な2点をゲットしたが、この得点こそがポヤトス・ガンバの真骨頂。そして、Jリーグが公開した「J STATS REPORT 2022」によると、J1の全18チーム中、唯一自陣から始まる攻撃で得点を奪えていないという不名誉なデータを残したガンバ大阪が、短期間で変化しようとしている事実を感じさせるものだった。
(取材・文:下薗昌記)
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