ラストマッチで見せた角田涼太朗の成長
「どこかで穴を空ける作業が必要だった。あそこ(のスペース)は相手の泣きどころかなと試合を通して感じていたので、思い切って入っていけた。ツノ(角田)もいいボールをくれました」と喜田はしてやったりの表情を浮かべた。重要な局面で2つのゴールをお膳立てする球出しができたのも、マスカット体制での角田の大きな成長に他ならないだろう。
「そこ(縦につけるパス出し)は自分の特徴でもありますし、ケヴィンも分かってくれていた。チームスタイル的にもセンターバック(CB)に多くの仕事が求められる中で責任感は増していた。それをこの試合で出せたのは大きかったですね」と本人も少なからず成長を感じた様子だった。
この7分後にヤン・マテウスのビューティフルゴールが飛び出し、3-0になってからは、相手の猛攻を跳ね返すのが守備陣の大きなタスクとなった。山東は次々と攻撃カードを切ってきて、猛然と攻め込んできたが、守護神・一森純と角田、エドゥアルドの両CB中心に体を張って守り続ける。終盤にはヒヤリしたシーンもあったが、それでもゴールを割らせなかった。マリノスの途中出場組である宮市亮や水沼宏太らが終盤にギアを上げるいい働きを見せたこともあって、彼らは最後まで集中力を切らさず戦えた。
そしてタイムアップの笛。3-0で勝利し、マリノスの1位通過が決定。マスカット監督の最終戦を見事な勝利で飾ることができた。
「ケヴィンは自分たちにフォーカスすること、1日1日を大事にすることを就任した当初から言っていた。僕もその言葉に救われたし、焦ることもなくなりました」と宮市がしみじみと言い、喜田も「臨機応変さや自分たちが効果的に変化していくこと、マリノスが進化するために必要なことを植え付けてくれた」と発言。指揮官の功績を選手それぞれが感じ、改めて自身の中に刻み込んでいた。
角田の場合は、紆余曲折の2023年を過ごしたからこそ、より思うところが多かったはずだ。