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天皇杯(JFA 第103回全日本サッカー選手権大会)決勝、川崎フロンターレ対柏レイソルが9日に行われた。0-0のままPK戦に突入し、川崎が3年ぶりに大会を制覇している。幾度となく訪れたピンチを救ってきたGKチョン・ソンリョンの活躍は、苦しみ続けた今季のチームを象徴するかのごとく、最後の最後で結果へと結びついた。(取材・文:藤江直人)
PK戦で決着がついた天皇杯決勝
時間にしてわずか40秒ほどの間に、川崎フロンターレの守護神、チョン・ソンリョンは思考回路をフル稼働させながら、濃密な経験のなかから確信に近い答えを弾き出していた。
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舞台は柏レイソルと国立競技場で対峙した天皇杯決勝。場面は延長戦を含めた120分間を、両チームともに無得点で終えてもつれ込んだPK戦。正規の5人ずつが蹴り合って4-4、サドンデスに突入しても7-7で決着がつかない息詰まる攻防は、天皇杯史上最長の10人目を迎えていた。
先蹴りの川崎はソンリョンがキッカーを務めた。柏のキャプテン、DF古賀太陽が試合中に負傷し、キッカーを担える状態になかった。柏の申し出を川崎も了承。鬼木達監督は柏に人数を合わせるために、前日練習でPKの精度を欠いていたDFジェジエウをPK戦に臨むメンバーから外した。
ゆえに両チームのキーパーが、最後の10人目のキッカーとしてスタンバイしていた。しかし、ソンリョン自身は「まさか自分のところに回ってくるとは、思ってもいなかった」と本音を明かす。
それでも、ソンリョンはフィールドプレイヤーも顔負けのキックを柏ゴールに突き刺す。
「ピッチ状態が悪く、ところどころに穴も開いていたので、インサイドで落ち着いて蹴りました」
ミートを心がけたインサイドキックはゴール右隅、一番上のコースを正確に射抜いた。川崎5人目のFWバフェティンビ・ゴミス、6人目のDF 登里享平のPKを立て続けに阻止。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、キックより早く前に出たとして蹴り直しになったものの、2人目のFW瀬川祐輔のPKも止めていた柏の守護神、松本健太がほとんど動けない完璧な一撃だった。
次は松本がキッカーを務める。その心理状態に、ソンリョンは約40秒間で思いを巡らせた。