チームメイトの“愛ある苦言”
これに関しては、0-0のまま延長に突入した99分の決定機も同様だったではないか。片山瑛一がヘッドで出した浮き球のボールに反応した細谷はジョアン・シミッチの背後を巧みに突き、ゴール前に飛び出した。しかし、頭での落としが少し前に流れて、チョン・ソンリョンが出やすい間合いになってしまったのだ。結果的にセーブされたわけだが、細かい技術や判断の狂いが生じたらチームを勝たせるゴールは奪えない。この大舞台で細谷は改めて重い事実を痛感したことだろう。
柏は終始、試合を押し気味に進めながらも120分間ゴールを割れず、PK戦に突入。自ら2本のPKを止めていた守護神・松本健太が10人目のキッカーとして登場し、失敗。川崎にタイトルを献上する結果になってしまった。
「本当に大事なタイミングで点を取り切れるか。そこは今季ずっと課題としていた部分ですし、それは今日の試合でも表れた」とキャプテン・古賀太陽が厳しい指摘をする傍らで、中盤で献身的な守備を見せていた椎橋慧也も「『真大が点を取ってれば(試合が)終わってじゃん』って思います。厳しく言っておきます(笑)」と冗談交じりにエースの奮起を促した。
こういったチームメイトの“愛ある苦言”を細谷自身も「FWとしての責任を負わなくちゃいけない」としっかり受け止めている。やはりトップレベルで活躍するFWというのは、寸分の狂いもない正確なボールコントロールから自分の間合いを作り出し、確実に点を取れる選手だ。自身がそうならなければ、柏をタイトルへと導くのはもちろんのこと、日本代表定着、主軸へと飛躍することはできない。