久保建英にとってやりやすかった2つの理由
試合開始〜30分までの久保のタッチ数はわずか10回だったが、B・メンデスが下がった30分〜前半終了までの約15分間では15回にも伸びている。また、同選手はこの日チーム2位タイとなる3本のシュートを放ったが、これはいずれも30分〜前半終了の間に記録したものであり、うち1つをゴールに繋げている。久保が高い位置でよくボールに触れていたことがわかるだろう。
久保のゴールはアルセン・ザハリャンの巧みなボール奪取から発動されたショートカウンターで奪ったものだったが、久保のアシストは工夫されたビルドアップの効果が表れていた。内側に絞ったトラオレからサイドに張った久保に渡り、そこからハーフスペースへ飛び込んだトゥリエンテスにパスが入ったことで深い位置をとった。そこで得たCKから、メリーノの先制ゴールが生まれている。
「前半、攻撃でもいくつかの変更を行い、それが彼ら(ビジャレアル)よりも成功し、私たちが試合に勝った理由だと考えている」とはアルグアシル監督の言葉。直近の試合でなかなかボールが来ないケースも多かった久保にとっては、かなりプレーしやすかったはずだ。
また、ビジャレアルの守備も久保からすると苦ではなかった。
今やソシエダのエースである久保にはどのチームも基本は2枚で対応してくるが、ビジャレアルは左SBのアルフォンソ・ペドラサ1枚で見ることがほとんど。中盤のカプエはソシエダのインサイドハーフを警戒し、左SHアレックス・バエナは戻ってくるが、そこまで素早くカバーに入ったわけではない。久保にはいつも以上に余裕があった。
チームがイケイケな状態でビジャレアルを押し込み、その中でさすがのクオリティーを発揮して1得点1アシストをマークした久保。ここ最近結果が出ていなかったこともあり、一安心といったところだろう。ここから再びギアを上げていけるか注目だ。
(文:小澤祐作)