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久保建英 12か月前

【久保建英・分析コラム】修正で生まれたWG久保への花道。多くゴールへつながったレアル・ソシエダの変化とは?

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

主力の負傷交代で生まれた変化

 ビジャレアル対ソシエダの一戦は前半で勝敗が決したと言える。2点差であればビジャレアルにもチャンスがあったかもしれないが、前半だけで3点差がつくと逆転は難しくなる。

 ただ、前半で勝負が決まったとはいえ、立ち上がりから継続してソシエダが圧倒していたわけではない。スコアが動いたのは38分から48分(前半AT)までの10分間であり、それ以前はほぼ互角の戦いだった。事実、試合開始〜30分までのソシエダのシュート数は3本だったが、30分〜前半終了までの同シュート数は12本と4倍になっている。前半の後半に、ソシエダのギアが一瞬にして上がった形だ。

 なにがソシエダを変えたのか。それは30分、B・メンデスの負傷交代だ。23分、倒れ込んだところでエティエンヌ・カプエに腕を蹴り上げられたB・メンデスはしばらくその場から動くことができず。その後プレーを再開したが、30分に自ら交代を申し出てベンチへと下がっている。

 B・メンデスの代わりにピッチに入ったのはベニャト・トゥリエンテス。彼は若くハードに戦うことができるが、まだ攻守において気の利いたことはできない。イマノル・アルグアシル監督はそれを理解していたのか、彼をピッチに送り出した後にビルドアップの形を変えている。

 ソシエダはこれまで通り後ろ4枚でビルドアップを進めていたが、B・メンデスの交代後は左SBのキーラン・ティアニーと両CB(イゴール・スベルディアとアリツ・エルストンド)の3枚を後ろに残し、右SBのアマリ・トラオレを内側に絞らせた、いわゆる偽SBを採用している。トゥリエンテスのところを配球力に長けるマリ人DFでカバーしようという狙いだろう。

 これが功を奏し、ソシエダはビジャレアルを押し込むことに成功した。一番大きい変化は、やはりSBとWGが縦の関係にならないことだ。それまでのアウェイチームは両SBが低い位置でタッチラン際に張るため、縦のWGにパスをつけると彼らが後ろ向きで受けざるを得ないかつ相手から狙われやすくなるが、B・メンデスの交代後は両SBが中に絞るため、WGとポジションの段差ができる。これにより、相手DFにとっては飛び込みにくい斜めへのパスが増えている。

 当然それは、久保にとってもポジティブなことだ。

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