「対遠藤対策」で明らかとなった課題
試合開始直後の3分にみせたトレント・アレクサンダー=アーノルドへのパスの展開など、前向きでボールを受けた際にはクオリティを発揮していたが、29分のように後ろ向きで受けたときの判断の遅さは課題と言えるだろう。
これが遠藤の課題だと間接的に伝わったのが、後半からのヒューズの立ち位置とプレスのかけ方だ。
ハーフラインが明けると同時にリバプールは遠藤に代わってジョー・ゴメスを投入。右SBのアレクサンダー=アーノルドをアンカーの位置に移した。すると、ヒューズはイングランド代表DFに対して遠藤のようなマンマーク戦術をとることなく、より低い位置にポジションを取って構えていた。
要するにアンカーへのマンマーク戦術は「対遠藤」専用のものであり、クリスタル・パレスは日本代表MFの弱点を見抜いていたことになる。遠藤のところをボールの奪いどころと設定していたことが、PK奪取未遂の場面や他のカウンターのシーンなど、前半のビッグチャンス演出に直結しており、ホームチームの狙いは見事に当たっていた。
後の対戦相手は「対遠藤対策」がハマったこの試合をしっかりとチェックをしているだろう。となれば、遠藤は今後も相手にマンマークされて前を向かせてもらえないという試合が増えそうだ。
場所的にも大事に繋ぎたい遠藤の気持ちはわかるが、出足の鋭い選手が多いプレミアリーグではワンタッチの多さが致命的なロストに繋がってしまう。この部分はトレーニングの積み重ねと強度に慣れるしかない。
守備面や前を向いた際のクオリティは徐々に上がっているだけに、この課題を解決することができるかどうかが、今後の遠藤の序列に大きく影響を及ぼしそうだ。
【了】