「まずシステムは…」アレックスの狙い
「まずシステムは最終ラインに5枚を並べる5バックにします。中盤は3枚にするか4枚にするかは悩みどころなので、5-3-2あるいは5-4-1になるでしょう。とにかく、日本相手にはサイドの対策をしなければなりません。カバーを徹底して少なからずとも数的優位な状況をつくらせないようにします。もちろん、最終ライン近辺でバイタルエリアのところは中盤ラインも含めて、しっかりとブロックをつくる守備になるでしょう。あとは先述のとおり、日本をいい感覚でプレーさせないように集中力をもって守備することですね」
守備ではサイドからの前進を防ぐ対策を考案したアレックスは、攻撃では「対角を狙う」との戦術を示した。
「攻撃面において自分が1つ考えていることがあります。ボールを奪ったら素早くロングボールを蹴り込み、時間をかけずにゴールへ迫りたいのですが、蹴り込むロングボールは奪った場所とは対角のサイドを狙います。そこで起点をつくり、カウンターを実行させるようにします」
対角を狙う意図は、日本が有する高い危機管理能力にあるという。
「遠藤航、冨安健洋ら日本のボランチやセンターバックは、守備への準備に余念がなく高いクオリティをもっています。自分たちがボールを保持しているときでも、奪われたときのことを考えてポジショニングしています。なので、ボールを奪ってから単純に前線へボールを送っても、いいポジションを取る日本の守備網に引っかかってしまうでしょう。
だから、彼らから距離の遠い対角のサイドへ蹴り出して、その影響を小さくさせます。それは普段通りのポジショニングとは違うように守らせ、いつもとは異なるプレー状況をつくり出す意図があります。これも“いい感覚を削ぎ落とす”ということにつながります」
対角にボールを運んだあとは、スピード勝負になるとアレックスは主張する。
「斜めにボールを蹴り込むと、そこからはスピード勝負になります。日本の守備が整う前にシュートまでもっていきたいですよね」
そう説明したあとにアレックスは口をつぐんだ。それはハーランドのようなFWの駒が欲しいということを表しており、優れたFWがいないと日本から得点するのは難しいことを暗に主張していた。
(取材・文:川原宏樹)
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