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プレミアリーグ 12か月前

【アーセナル分析コラム】冨安健洋不在で浮き彫りになる問題。“ずさん”な守備と昇格組に苦しんだ理由とは

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

左サイドからのビルドアップが機能不全に陥った理由



 前節ウォルバーハンプトン戦で後半途中に足を痛めた冨安は、大事を取ってルートン戦ではベンチ外となった。

 同じく2日前の試合にて左SBで出場していたオレクサンドル・ジンチェンコはベンチからのスタートとなり、今節は右SBにベン・ホワイト、左SBにヤクブ・キヴィオルが起用された。

 その中で苦しかったのが本職CBのキヴィオルの左SB起用だった。ミケル・アルテタ監督はこのポーランド代表DFに、冨安やジンチェンコのような偽SBのタスクを与えず、左サイドに張らせて[4-3-3]のシステムのままビルドアップをさせた。

 しかし、これがビルドアップの停滞に大きく繋がった。最終ラインがルートンの出足の鋭いプレスをかけられた際、左SBのキヴィオルにボールを預けたとしても、そこからの選択肢がほぼ無かった。彼には対峙した相手選手に対してドリブルで剝がせる技術が備わっておらず、チームとしても4バックのビルドアップのルールがないため、プレスをはめられた時点で左サイドから前進することができなかった。

 仮に冨安やジンチェンコのように中央に絞ってビルドアップに絡むことができれば、CBのガブリエウ・マガリャンイスから左WGガブリエウ・マルティネッリへのパスコースが生まれる上に、偽SBへのパスコースもできる。相手からすると奪いどころを設定しにくくなるため、偽SBの戦術はプレス回避に最適なのだが、4バックのままビルドアップをするとなると簡単にハメられてしまう。

 その結果、本来は高い位置でボールを受けたいマルティン・ウーデゴールやガブリエウ・ジェズスがいつも以上に低い位置まで降りてボールを引き出すしかない状況に陥り、マイボールから攻撃の形を作るのに苦戦を強いられた。

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