「もうブレブレ」PK献上で森田晃樹の心境は…
ヴェルディは長丁場のJ2リーグをジュビロ磐田と並ぶ勝ち点75で終えながら、得失点差でわずかに及ばない3位でJ1への自動昇格を逃し、気持ちも新たにJ1昇格プレーオフに進んだ。
まず先月26日の準決勝でジェフ千葉を2-1で撃破。迎えた決勝の相手はシーズン4位の清水となり、90分間を終えて同点の場合はレギュレーションにより、リーグ戦を上位で終えたヴェルディに軍配が上がる。実際、試合は清水に押されながらも、ともに無得点のまま推移していった。
しかし、63分に予期せぬ形で均衡が崩れた。浮き球のパスに反応した清水のMF中山克広が、ペナルティーエリアの右奥への侵入してくる。対応したのはボランチの森田。しかし、ボールがワンバウンドした直後に笛が鳴り響いた。振り返れば、池内明彦主審がペナルティースポットを指さしている。
攻防の最中に、森田の左手にボールが当たったと判定された。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチェックをへても状況は変わらない。ボールをセットした昨シーズンのJ1得点王、FWチアゴ・サンタナが強烈な一撃をゴール右隅へ突き刺す。痛恨の場面を森田はこう振り返っている。
「自分としてはハンドじゃないと思ったんですけど……でも、VARがあるなかでそういうジャッジをされてしまった。それがすべてなので、もうしょうがないという感じでしたけど」
時間はまだ十分に残っている。キャプテンとして、気持ちを切り替えようと必死にチームを鼓舞した。しかし、一人の選手としてどうしても尾を引きずってしまう。絶対に与えてはいけない先制点を、自らのハンドで与えてしまった。もしこのまま負けたら、というネガティブな思いが脳裏を駆け巡る。
「いやぁ、もうブレブレだったと思います」
ビハインドを背負った後の心境を、森田はこんな言葉で振り返っている。もっとも、試合後の取材エリアで苦笑いとともに振り返れる理由があった。沈んだ気持ちと表情のまま、清水のボランチ、ホナウドとの球際の攻防で完敗を喫した直後だった。怒りが込められた大声が飛んできた。