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Jリーグ 12か月前

【湘南ベルマーレ2023総括コラム1】かけ離れた目標と現実。「勝てるチームを作る」ための第一歩

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

得点力不足を解消する新たなピース



 昨季2得点だった大橋祐紀がハットトリックを達成し、昨季無得点の平岡大陽と新加入の小野瀬康介もゴールネットを揺らした。敵地で行われたサガン鳥栖との開幕節における5-1というスコアは、「5位以内」という目標に現実味を持たせた。少なくともこれは偶然ではなく、これまでの積み重ねが結果に結びついたと言っていいはずだ。

 湘南ベルマーレは2018年からJ1に残り続けているが、昨季までの5シーズンでリーグ戦174試合を戦い、174得点。どのシーズンも1試合1得点前後で、「得点力不足」という言葉は見慣れたものとなってしまった。

 2021年9月から指揮を執る山口智監督は、2022シーズンの新体制発表会見でこのように話している。

「(2021シーズンは)0-0の試合が8試合、1-1の試合が8試合あって、そこの数字をどうしていくかという話をしている。攻撃のところは勝利を前提に、45点から50点を目指そうという話をした」

 迎えた2022シーズンは序盤戦から得点力不足に悩まされ、34試合で31得点という数字に終わった。順位こそ12位だったが、最後の最後まで残留を争っている。ラスト4試合で7得点を挙げているが、そこまでの30試合ではわずか24得点で、1試合平均0.8得点という計算になる。5位を目指すには到底足りない数字だった。

 5人の新加入選手を迎えた今季はその反省を活かすべく、最高のスタートを切った。得点能力という部分で一皮むけた大橋と、昨季のチーム得点王でFIFAワールドカップを肌で感じた町野修斗の2トップを、新たな司令塔が操る。小野瀬康介がチームに溶け込むのに時間はかからなかった。山口監督の下で積み上げてきたチームに、ガンバ大阪時代にコーチと選手という間柄だった小野瀬が加わることで、新たな化学反応が生まれている。

「『こうしてほしい』と喋っているので、うまく(チームに)入れた。元々できているチームなので、そこに僕が合わせる形から入って、『こういうこともできる』というプレーを見せていって今の形になっている」

 その攻撃力のベースには、鳥栖が苦しめられたプレッシングがあった。対戦相手の指揮官は口を揃えるように湘南の脅威に触れている。

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