「シーズン通して何回もあったのに…」繰り返された失敗
東京Vは最前線の染野唯月を目がけて次々とロングボールを蹴り出すようになり、清水守備陣は懸命に跳ね返していたが、93分に途中出場の神谷優太が相手3人に囲まれてボールを奪われた。次の瞬間、東京Vは中原輝へとつなぎ、鈴木義宜の背後を抜け出した染野に絶妙のスルーパスを供給。ここで清水の高橋祐治がスライディングタックルに行き、エリア内で染野を倒してしまったのだ。
「中に人もいなかったし、打たせても大丈夫な角度だった。もっといい対応ができたと思う」と高橋本人は悔やんだが、池内明彦主審はPKを選択。染野が同点弾を決めることに成功した。
そのままタイムアップの笛。同点に追いついた東京Vが16年ぶりのJ1復帰を決め、歓喜を爆発させる傍らで、清水は手にしかけていたJ1切符を最後の最後で逃した。ベンチにいた乾は悔しさをにじませ、「とにかくヴェルディさんの方がJ1に上がるにふさわしかった」と憮然とした表情で言うしかなかった。
「これだけ勝負弱いとね…。ここで勝てばっていう試合はシーズン通して何回もあったのに勝ち切れなかった。今回も1-0で終われれば上がれましたけど、ああいうミスをしてしまう。自分たちがJ2のチームということだと思います。
キツイことを言いますけど、祐治もまず滑る必要はなかった。前ももっと点を取るチャンスがあったんで、自分たちも悪いですけど、無駄なファウルをしてしまうところは反省しないといけない。個々がもうちょっと賢くならないと、レベルアップしないと本当にJ1に上がれるチームにはなれない」
世界基準を知る35歳のベテランは、決定的なミスを犯す形になった高橋含め、1人1人の勝負弱さや力不足が招いた結果だという見解を示していた。