悲鳴を上げた左膝「これほど残酷なことはない」
「もちろん優勝できて嬉しい、という思いもありましたけど、僕のなかではやはり怪我も大きかった。状態によっては手術を受けなきゃいけなかったというか、本当に瀬戸際、ギリギリの状態だったので。ここまでサッカー選手としてずっとプレーしてきたなかで、自分のプレー強度に対して自分の体が本当によく頑張ってくれていたと思っていますし、そのなかで少し悲鳴をあげた結果として今回の怪我になってしまいましたけど、本当によく持ってくれたなっていう思いでした」
涙の意味を明かした山口が、先発だけでなくベンチ入りメンバーからも姿を消したのは、敵地レモンガススタジアム平塚で10月28日に行われた、湘南ベルマーレとのJ1第31節だった。
大迫のPKで追いつくも勝ち越せずに1-1で引き分け、連勝が3で止まった湘南戦後の公式会見。山口が欠場した理由を問われた神戸の吉田孝行監督は、微妙な表現に終始していた。
「怪我であるとは言えるが、次の試合に間に合うかどうかは日々の状況を見ないとわからない」
山口の欠場は、今シーズンのリーグ戦で31試合目にして初めてだった。J1全体でも群を抜く運動量の多さとインテンシティーの高さを誇り、昨シーズンからリーグ戦で48試合続けて先発フル出場中だった鉄人の体に、深刻な事態が起こっていたとすぐにわかった。
YBCルヴァンカップ決勝が行われた関係で日程が空いた続く第32節、11月12日の浦和レッズ戦も山口は欠場した。後半アディショナルタイムに決まった大迫のゴールで、埼玉スタジアムで劇的な勝利をあげた一戦でもベンチにすら入らなかった山口は名古屋戦後に、左膝を痛めていたと明かした。
「1年間ずっとやってきて、最後の最後になって、ピッチに立てないというのは正直、ちょっと考えられなかったし、これほど残酷なことはないとも思っていた。だからこそ絶対にピッチに立つという思いで、リハビリや治療を含めて、できることは本当にすべてやってきたつもりではいました。なので、ギリギリではありましたけど、今日の試合に間に合って本当によかった」