再現されたアーセナルの形
89分に生まれたカイ・ハフェルツのゴールも、ブレントフォードの[3]の脇にスペースを作り出したことが起点になった。ウーデゴールが相手の中盤選手の横でボールを受け、ドリブルでペナルティエリアに侵入。相手の選手2枚を引き付けてサカにボールを預ける。サカの前にはスペースは生まれ、相手選手の寄せが遅くなったタイミングで逆サイドのハフェルツの動きに合わせてクロスを上げることができた。
ウーデゴールからサカへ、右サイドから左サイドへ、そしてエディ・エンケティアからハフェルツへ。ブレントフォードの守備陣たちの注意を目まぐるしく動かしていき、ハフェルツの動き出しの良さを生かしたゴールが生まれた。
1試合を通して相手の好守備に苦しめられたが、うまくいった攻撃の形が最後の最後で再現されて劇的な勝ち越しゴールを生んだ。ラムズデールやジンチェンコのミスで先制されてしまっていたら、もっと苦しい展開になっていたかもしれない。それでも忍耐強くチーム全員で守り切り、数字に残る活躍が欲しかった選手にゴールが生まれた。チームとしての底力を見せた試合だったと言えるだろう。
絶対に勝ちたい一戦に勝利し、アーセナルは勝ち点30で首位に立った。もう昨季のような悔しい結末では終われない。首位に返り咲いた今、ここからが勝負だ。
(文:竹内快)