サッカー日本代表で受けた刺激。力不足を感じた選手とは…
「縦パスに関しては(守田英正や田中碧など)いろんな選手から刺激を受けた。そこは自分の課題だし、それを入れないとこの先やっていけないと思ったので、どんどんチャレンジしていこうと思っていました」と彼は静かに言う。
佐野が代表で感じたものがチームの勝利につながればよかったが、「際(きわ)の部分」でやられてしまうのが鹿島の現状を表している。それが34分のダミアンの先制点だ。登里亨平からのスルーパスを須貝の背後に通され、追いついたマルシーニョがマイナスにクロスを入れた。ここに積めたのがダミアン。
「勝負の世界ではあのミスはあり得ない」と甲府でキャプテンを務めていた右SBはうなだれたが、今季の鹿島は「押しているのに一瞬の綻びが生じる」傾向が強かった。だからこそ、ヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、といった上位陣に勝てなかったのだろう。
0-1で折り返した後半も悪循環に歯止めをかけられなかった。岩政監督はベテラン・昌子源を投入し、川崎のパス回しをハイプレスで封じようと試みた。が、試合巧者の川崎はそれを見越して逆に長いボールを増やし、プレスに引っかからないような対応を講じてきたため、劇的な変化には至らなかった。
彼らにとって致命的だったのは、63分のダミアンの2点目だ。山根視来のロングクロスを須貝が滑ってコントロールしきれず、マルシーニョに拾われ、ゴール前に飛び込んできたダミアンがいとも簡単にゴールしたのである。
「マルシーニョに90分通して仕事をさせないことが一番頭の中にあったけど、仕事をさせてしまったし、チャンスも作れなかった。自分の力不足だと思います」と須貝は反省しきり。本当に2つの大きなミスは悔やまれた。
直近5戦未勝利で、わずか3得点しか挙げていない鹿島にとって、0-2というスコアはあまりにも重かった。そういう状況下でチームを鼓舞する選手がいないことも気がかりな点だった。