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プレミアリーグ 12か月前

トッテナムを変えたポステコグルー流マネジメント。マリノス時代から変わらぬ手法【コラム前編】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

即座に最適解を導き出す“ポステコグルー流”マネジメント


 すぐにチームの最適解を見出すことができたのは、ポステコグルー流のマネジメントが大きく影響しているだろう。

 横浜F・マリノス時代から選手と一定の距離を置くことで知られるこのオーストラリア人指揮官は、欧州に渡って以降も自らのスタイルを変えていない。セルティック時代も全員がいる食堂で食事をせずに、自らのオフィスで食べるようにしていたそうだ。

 細かい選手とのコミュニケーションを他のスタッフに任せるこのマネジメント方法は、ドライにも感じられるかもしれないが、これがポステコグルーのやり方なのだ。

 このような方法で選手と接している最大の理由は「実力だけでベストなイレブンを選ぶ」ためである。選手と個人的な関係を築いてしまうと、余計な情が働いてしまう可能性があるため、最適なイレブンを作ることができないリスクを避けるためのものだそうだ。

 選手と直接触れ合うことが少ない一方で、彼らに対して愛情がないわけではない。9月の代表戦後に涙を流し、精神的なサポートが必要だと語ったリシャルリソンに対しては公の場で「リッチーに必要なものが何であれ、自分たちはクラブとして選手たちが助けを求めるのであればそれをサポートする」と発言。必要な場面では自らが前に出て、選手たちを擁護している。

 ポステコグルー流の新たなアプローチは、練習から雰囲気が最悪だったとされるコンテ時代の悪い流れを変えるために有効だった。選手の評価は全てフラットな状態となり、前政権で重要な戦力だったロリスやエリック・ダイアー、ピエール・エミール・ホイビュアらの序列は下がった。かと言って、彼らをセカンドチーム送りにするわけではなく、純粋なポジション争いをさせるために常にトップチームの一員としてトレーニングさせている。

(文:安洋一郎)

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【了】

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