藤田譲瑠チマがチームメイトにかけた言葉
「自分を含めて、ちょっとボールを欲しがらなくなっていたし、ボールを大事に扱えなくなっていたなかで『チームとしてもう一回、自信を持ってボールを持とう』と伝えていました。自分たち中盤の選手のところで単純なミスが出ていたし、センターバックのところからもっと簡単に相手を超えられるのに、キーパーに戻した末に蹴ってしまうようなシーンもけっこうあった。そういったところでもっと自分を中心に助け合いながら、うまく数的優位を作って乗り越えていければと思っていたので」
相手の重圧にさらされる。たまらずミスを犯し、失点につながりかねないピンチを招く。さらに姿勢が後ろ向きになる。萎縮した結果として、味方からのパスをもらうのを恐れる。これではサッカーにならない。自分自身を含めたチームを鼓舞した藤田は、攻守両面であらゆる場所にさらに顔を出し続けた。
メンタル面でチームを立て直しながら、藤田はこんな場面が訪れてほしいと考えていた。
「ボール奪取からシュートまでいくとか、あるいは誰かが上手くインターセプトしてカウンターにいくようなシーンがあれば、そういったところから必ず流れはこっちに向いてくる」
藤田に思いをシンクロさせていた選手がもう一人いた。試合会場のIAIスタジアム日本平を本拠地とする清水エスパルス出身で、今夏からデンマークでプレーするMF鈴木唯人だった。
「何とか自分のワンプレーで流れを取り戻せたらと、あの時間帯はずっと考えていた」