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スタジアムでしか知りえない三笘薫。ブライトン特有の雰囲気が一変した瞬間[#2]

シリーズ:内藤秀明の欧州紀行 text by 内藤秀明 photo by Getty Images

雰囲気は一変する



 ただこれは日本人に限った話ではない。ブライトンの試合を見に来ているファンは、どこか祭りを見に来ているライトなファンが多いように見えた。奇跡の優勝を遂げた2015/16シーズンのレスターのスタジアムに近い雰囲気かもしれない。街自体が大学や語学学校が多い影響か、若い留学生の来訪も多いようにも見える。いずれにしても女性比率がやや高いせいか、男くさい闘いの匂いは少なく、治安の良いスタジアム特有の明るさを感じさせられた。

 しかしながらスタジアムに入るとその印象は一変する。

「アルービロン!アルービロン!」イングランド特有の低音のチャントの音が鳴り響く。一体感が半端じゃない。試合が始まれば、闘いの時間であり、エネルギーの発散場所だった。

 また全体としてはやや上品に見えたファンたちだが、良くも悪くも一般的なイングランドのフットボールファンのようだ。例えば相手のGKがゴールキックを蹴るたびに汚い言葉を皆で吐きつけて盛り上がっていたし、不本意な判定があれば審判に暴言も吐く。試合が少し荒れ気味だったとはいえ、開始前の印象とは全く違う。

 しかし厳かな雰囲気は試合中のみ。いや審判たちが退場するまで、と言うべきか。ファンにとっては不本意なジャッジだったのか、彼らの去り際には、大きなブーイングを浴びせていた。ただそれも落ち着けば白く美しいカモメたちが飛び回り、海辺のスタジアム特有の独特の雰囲気を作った。

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