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日本代表 1年前

佐野海舟が45分で感じた意欲。町田で育ち、病気を経て鹿島で掴んだサッカー日本代表【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

いきなりサッカー日本代表デビューが実現した訳



「ボールを奪う部分が、自分の一番の特長だと思っています」

 キャプテンの遠藤航に守田英正と、すでに日本からヨーロッパへ活躍の舞台を移して久しい、同じポジションの選手たちが続々と合流してくる。

「個人のレベルがものすごく高いし、自分もその基準に合わせられるように頑張るというか、そこに合わせないと生き残っていけないと思っていたので、毎日が死ぬ気でやっている感じでした」

 ミャンマー戦までの3日間の合宿をこう振り返った佐野は、一方で「チャンスはそう多くない、と思っています」と、実績のない自分がそう簡単には公式戦に出場できないと覚悟していた。

 しかし、サッカーは何が起こるかわからない。インサイドハーフの一角で先発し、28分には追加点となる豪快なミドルシュートを左足で決めていた鎌田大地が腰に痛みを覚えた。異変はすぐにベンチへ伝えられる。鎌田の代わりに後半からいくぞ、と告げられたのは佐野だった。

「本当に急でしたけど、自分としてもいい準備をしてきたので。もちろん緊張していないわけはないですけど、やるしかない、とにかくチャレンジしようと前向きな気持ちで試合に入れました」

 過度の緊張を与えないための配慮か。森保一監督の指示は明快だった。指揮官から「楽しんでプレーしながら、ボールを多く触ってほしい」と伝えられた佐野は、後半のキックオフから1分とたたないうちにミャンマーの選手に体を激しく寄せ、ファウルなしでボールを奪ってみせた。それも2度も。

 守備から攻撃に転じるスイッチを激しく、なおかつクリーンに入れる、自身の十八番としているプレーだけではない。今シーズンから所属する鹿島アントラーズで取り組んできた、ボールを奪った後に自ら速攻につなげていくプレーや、中盤で相手をはがすドリブルも惜しみなく披露した。

 そして、冒頭でも記した積極果敢なミドルシュート。このとき、ベンチ前で戦況を見つめていた森保監督は満足そうな笑みを浮かべている。試合後の公式会見でも佐野に対してこう言及した。

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