引いた相手をどう崩すか
【写真:Getty Images】
カタールW杯アジア最終予選で序盤3戦中2戦黒星という苦境に陥った時、チームを救ったのがこの男だった。最終的に前回最終予選では4ゴール・2アシスト・PK奪取と全12得点の半分以上に絡んだ快足ウインガーはミャンマーのDFが2人がかりで来たとしても止められない。前回予選経験者として冷静に戦況を見極め、試合に入れる冷静さや落ち着きもチームにとって大きい。
「相手の5バックの引き方や守り方は見てみないと分からないんですけど、ボールを持てる時間が多くなる分、アイデアを出していかないといけない。その一方で、ロングシュートを打ってみたり、シンプルにクロスを上げたりとか、表と裏をしっかり使いながらやっていけたら、相手も嫌がると思う」と右サイドで縦に並ぶことが多い菅原由勢もイメージを口にしていたが、右サイドバックが伊東の推進力を生かす工夫をしていくことも重要だ。
右サイドで数的優位を作れれば、その分、中や逆サイドが空く。今回は空中戦で絶対的強さを誇る上田綺世の1トップ先発が有力視されるが、彼がフリーでゴールを狙える形も増えてくる。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ラツィオ戦のラストに見せたヘディングシュートに象徴される通り、上田の高さと強さはアジアレベルでは頭抜けている。伊東はそこも確実に使って得点を演出してくれるはずだ。
左のドリブラー・三笘薫が試合前日に負傷離脱し、左サイドの突破力がやや低下する今回、右の伊東の存在価値は極めて高い。10月のカナダ代表、チュニジア代表との2連戦でも連続先発している通り、彼のタフさと運動量は折り紙付き。CLやヨーロッパリーグに参戦しているチームの選手より体力的にも余裕があると見られるだけに、ミャンマー代表戦に加えて21日のシリア代表戦も伊東の個の力にかかる部分は大だと言っていい。