湘南ベルマーレが大橋祐紀につないだ襷
「大橋くんがあそこにいなかったら、ゴールは決まっていなかったと思うので。大橋くんと2人で取ったというか、阿部くんも章斗くんも含めて、チーム全員で取ったゴールだと思っています」
わずか8分後の23分には、湘南の山口智監督を驚かせた形で待望の追加点が生まれた。
左サイドから仕掛けられた名古屋の攻撃を、DF大野和成が必死に食い止める。クリアされた形になったボールは自陣の中央にいた阿部への縦パスになる。この瞬間、左前方に大橋がいた湘南に対して、名古屋は中谷とMF米本拓司しかいなかった。しかも、中谷がスリップして阿部を逃してしまう。
慌てて米本がつぶしに来るも、阿部はその股間にボールを通して前へ抜け出す。米本も倒れながら阿部に足を引っかけたが、すでにスプリントを開始していた大橋へ、一瞬早くボールが託された。
パスがわたった場所はハーフウェイラインの手前。オフサイドはない。ドリブルで独走していく大橋を追う選手は中谷ただ一人。それもかなり離されている状況で、名古屋ゴールが近づいてきた。
「ランゲラック選手が前へ出てくるのは見えていました。一発で決められたらよかったんですけど」
こう振り返った大橋が選択したのは、ランゲラックの頭上を越すループシュート。しかし、とっさの反応で右手を伸ばしたランゲラックに触られてしまう。しかし、宙を舞うボールに反応した大橋が無我夢中で頭をヒットさせると、シュートは無人の名古屋ボールへ吸い込まれていった。
「いいところにボールがこぼれてきたので『入れ』と思いました。決められて本当によかったです」