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Jリーグ 1年前

「やっと来たか」大橋祐紀、ブレイクの理由。21戦13得点、湘南ベルマーレFWの変化【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

平岡大陽の計算違いと機転



「1点目は本当に大陽(平岡)のゴールだと思っていますし、そういったゴールがあるからこそ(自分の)数字が伸びているので。チームメイトたちに感謝したいと思います」

 先制点は大阪・履正社高から加入して3年目の21歳、MF平岡大陽を含めた、複数の選手たちのイメージが完璧にかみ合ったなかで生まれた。きかっけは自陣のゴール前からDFキム・ミンテが放ったグラウンダーの縦パス。これをMF鈴木章斗がワンタッチで右サイドへ大きくはたいた。

 ボールを受けたのは、フリーでポジションを取っていたMF阿部浩之。ガンバ大阪と川崎フロンターレでJ1リーグを制した経験を持つ34歳のベテランは、ピッチ上の状況をこう振り返った。

「大陽がいいところに走ってきたし、その前で章斗(鈴木)とおーちゃん(大橋)が相手をひきつけてくれたからこそ大陽のところが空いたと思うし、そこを見逃さずにしっかりと出せてよかったです」

 ニアで大橋が囮になり、中央では鈴木章斗がDF野上結貴を引き連れてつぶれた。必然的にぽっかりと空いたファーへフリーで走り込んでいった平岡が、阿部が放つクロスのターゲットになった。

 そして、手前でワンバウンドする難しい軌道のボールを、平岡はスピードに乗ったまま、やや前傾した体勢で胸の部分で巧みにトラップする。慌てて追走してきたMF久保藤次郎も追いつけない。

 しかし、ここでちょっとした計算違いが起こった。平岡がこんな言葉とともに振り返る。

「僕のちょっとトラップが大きくなったところで、間接視野で大橋くんが目に入ってきた。なので、僕が狙うよりも大橋くんにパスを出す方が、ゴールできる確率が上がると思いました」

 名古屋の守護神ランゲラックが一気に間合いを詰めてきた刹那。まさにその眼前で、平岡は右サイドへボールをはたく。そこにはニアでDF中谷進之介の注意を引きつけ、すかさずその背後へ回って中谷の視界から消え、フリーの状態を作り出した上でゴール前へ詰めてきた大橋がいた。

 右足でゴールネットを揺らした直後。平岡のゴールだと試合後に感謝した言葉通りに、ランゲラックと交錯して転倒した平岡のもとへ、大橋は真っ先に駆け寄って抱きついた。平岡がこう続ける。

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