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Jリーグ 1年前

ヴィッセル神戸は「山口蛍不在」をどう乗り越えたのか。酒井高徳が感じた変化とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

酒井高徳が感じるヴィッセル神戸の成長



「1-1で終わろうと思えば終われるところでも、黛也が最後まで貪欲に攻め続けたというのは、すごく意識が上がっている証拠。大樹やテツ(山川哲史)にしても自信と自覚を持ってやってくれているのが分かる。いい意味で何かを彼らに言うことが少なくなっていると感じるし、逆に僕らに要求してくるくらいになっているんで、本当に頼もしいです」と彼はしみじみ語った。それだけ神戸の総合力が引き上げられ、チーム全体の輪が広がったということなのだろう。

 確かに思い返してみれば、2019年夏にハンブルガーSVから復帰した頃の酒井高徳は「球際も寄せも激しさも全部足りない」と苦言を呈することが少なくなかった。世界基準を忘れないために、自身のドイツ時代のプレーを脳裏に焼き付け、ピッチで示す努力を続けているという話もしていたほどだ。

 そういった彼のアプローチを近くで見ていた面々はしっかりと感じ取っていたはず。隣でコンビを組んだ扇原を筆頭にこの日の神戸は非常にタフで逞しかった。山口蛍不在という大きな苦境を乗り越えたことで、彼らはついにリーグ初制覇に王手をかけたのである。

 残る相手は名古屋グランパスとガンバ大阪。両者とも監督続投発表後に失速傾向にあり、神戸にとっては悪くない相手だ。ラスト2戦を勝ち切れば、彼らは自力で悲願のタイトルを手にできる。

「残り2試合、同じような戦いをして、最後みんなで笑えたらいいと思います」という酒井高徳の願いは果たして現実になるのか。最終盤の戦いを冷静に見守るしかない。

(取材・文:元川悦子)

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