久保建英が犯した最悪のプレー。なぜ起きた?
加えてアルメリアの守備も厄介だった。彼らはなりふり構わずボールホルダーに突っ込んでくるため、かなりソシエダの選手は削られた。とくにスコアに動きがあった後半は顕著で、この45分間だけでアルメリアのファウル数は10回となっている。
一回いっかいプレーが止まってしまうと、ソシエダのビルドアップもスムーズにいかないのは当然だろう。怪我人が出なかったのが不幸中の幸いだ。
こうした様々な要因が重なって、冒頭の通り久保にとってはストレスの溜まるような試合となった。流れの中で何度か低い位置まで下がることがあり、いつも以上にボールを欲しているのは明らかだった。
しかし、結果としてこの動きが最悪の事態を招いてしまった。
76分、自陣右ハーフスペースでGKアレックス・レミロからのパスを受けた久保がボールロスト。そのままショートカウンターを浴びて、同点ゴールを奪われてしまった。つまり、失点に関与した形だ。
なぜこれが起きたのか。まず久保は右SBのトラオレにボールを預けた後、リターンを受けようとハーフスペースに侵入した。その直後にトラオレは一度右CBのアリツ・エルストンドにパス。この時点でエルストンドは縦に位置していた久保にボールを出せる状態だったが、リスクを避けたか、レミロへのバックパスしか選択肢のないファーストコントロールを見せた。レミロにパスを出した後、エルストンドは久保に「ごめん」というようなジェスチャーを送ったため、久保が見えていなかったわけではない。
その後、前向きなアルメリアの守備に遭ったソシエダはボール回しがバタつき、プレッシャーを受けたレミロが苦しみながら右ハーフスペースに留まっていた久保にパス。背番号14は浮いたボールをうまく落ち着かせたが、アルメリアの狙いにハマったことで奪われ(少しファウルのような気もしたが…)、失点につながってしまった。
なんとかボールを受けようと久保が良い位置にいたのは事実。エルストンドには最初から弱気な姿勢ではなく、パスを差し込んでほしかったところだ。彼がレミロにボールを下げた時点で、久保がハーフスペースでパスを受けるのは難しかったと言える。失点の原因は、見え方としては久保のロストだが、1人の責任では全くないと断言していいだろう。
コーナーキックから得点に絡んだとはいえ、今季初と言っても過言ではないほど存在感がなかった久保。気持ちを切り替え、これから始まるアジア2次予選に臨んでほしい。
(文:小澤祐作)