ワールドカップのプロセスにアジアカップがある
【写真:Getty Images】
「日本代表には異なる特徴を持つFWが選ばれていますが、その他の選手たちが彼らFWの特徴を理解することが大事になります。それぞれの良さを生かすために、どうプレーすべきかを理解してチーム全体で共有できるかがポイントになるでしょう」
そう答えたアレックスは、上田の特徴で具体例を挙げた。
「日本代表を相手にするとき、クオリティの高い中盤の選手をマンマーク気味にしてプレッシャーをかけて守るチームが多いでしょう。そうやって守られたときの日本代表はDFラインから中盤への縦パスが少なくなり、推進力に陰りを見せます」
「そういった状況でビルドアップを進めるとき、縦パスを受けて中盤の選手に渡せる上田の特徴が生きてくるのですが、そのときにDFラインの選手が上田の動きを注視してタイミングを合わせたパスを出さなければなりません。そのためには、互いに理解が必要ですよね。チュニジア戦では上田のアクションに合わせてパスが供給されていて、DFラインの選手は探し方もよくなっていたように感じました」
相互理解はFWのみを対象にした話ではない。ただ、FWの使い分けによって戦い方に幅を持たせるには、多くの時間が必要になると考えるのが通常であり、その分だけチームづくりの難易度も上がる。そこから考えられることは、ワールドカップまでを見据えて難しいことにチャレンジしていっているプロセスにアジアカップがあるということではないだろうか。
(取材・文:川原宏樹)
前回分はこちら
【第1回】「研ぎ澄まされていた」スペイン人指導者が高く評価したサッカー日本代表。その一方で「習得すべき大事なことが残されている」
【第2回】「以前はエラーが15~20回あった」サッカー日本代表は何が良くなったのか? スペイン人指導者が見た改善と成長
【第3回】「パス1つに意味を持たせる」サッカー日本代表が共有したコンセプト。スペイン人指導者が見た久保建英の魅力とは
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