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「あの決断を正解にできた」アビスパ福岡、背番号6が明かす指揮官への本音とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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JリーグYBCルヴァンカップ決勝、アビスパ福岡対浦和レッズが4日に行われ、2-1で勝利した福岡が大会初制覇を果たした。開始5分の先制点を決めたのは、いつもとは異なるシャドーで起用された前寛之。強い信頼で結ばれる長谷部茂利監督との阿吽の呼吸で、福岡に流れを引き寄せることに成功している。(取材・文:藤江直人)


明確な意図を持った前寛之のシャドー起用

JリーグYBCルヴァンカップ決勝で先制ゴールを決めたアビスパ福岡MF前寛之

【写真:Getty Images】

 大会史上で最多となる6万1683人の大観衆が見つめる、国立競技場のピッチから伝わってきたのは違和感だった。浦和レッズとのYBCルヴァンカップ決勝に臨んだアビスパ福岡の選手配置が、長谷部茂利監督に率いられた2020シーズン以降では見られないものだったからだ。

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 不動のボランチ、副キャプテンの前寛之が本来のポジションにいない。今シーズンのJ1リーグ戦でここまで全31試合に先発し、チーム最長のプレー時間2705分を数えている背番号「6」はボランチの一列前、ダブルシャドーの左に入り、右の紺野和也とコンビを形成していた。

 ボランチの一角には大会規定で、最低でも一人の先発が義務づけられる満21歳以下の選手として、アビスパ福岡U-18出身の森山公弥が入っている。しかし、レギュレーションだけが前のポジション変更に至った理由ではなかった。試合後の公式会見。長谷部監督が意図を説明した。

「相手に対して自分たちが機能すること、また自分たちの強みである部分を、守備でも攻撃でもそれを理解して実行できる人間を、コンディションも含めてシャドーのポジションで使いました」

 言葉の端々から前へ寄せる全幅の信頼が伝わってくる。実際に前も、福岡の生命線となる高い位置からの守備で重要なタスクを実践し続けた。浦和のビルドアップの起点となる右センターバック、アレクサンダー・ショルツに、的確なポジショニングでプレッシャーをかけ続けたからだ。

 もっとも、前が最初にまばゆいスポットライトを先に浴びたのは守備面ではなかった。キックオフからわずか5分。前がイメージしていた攻撃面でのシャドーの仕事が先制点の起点になった。

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