久保建英も落胆? 蘇ったインテル戦の記憶
しかし、ほんの一つのきっかけで、ソシエダは勝ち点を取り逃がしている。
これまで何度も指摘してきたが、現在のソシエダの問題は主力と控え選手のクオリティーの差にある。久保、オヤルサバルらが交代した直後に失点するケースは今季だけで何度もあった。
バルセロナ戦、決勝ゴール献上のそもそもの原因となったのは、途中出場のモハメド=アリ・ショーによる致命的なパスミスだった。わざと相手に渡したのかと思ってしまうほどのあまりに単純なボールロストであり、擁護のしようがない。彼に関してはそのような雑なプレーが多すぎる。
トラオレとの交代で右SBに入ったアリツ・エルストンドは特徴ではないにせよ、攻撃面の質が低すぎる。一列前にいる久保に良い形でパスを預けられず、攻撃を止めてしまうことがあった。追い越す動きだけでなく、内側のスペースも巧みに使えるトラオレとは雲泥の差だ。
押し込んでいる時間帯に点を奪えなかった主力に全く責任がないとは言えない。しかし、主力選手を助けなければならないはずが、足枷になり続けてしまっている控え選手たちの責任はもっと大きい。懸命に汗を流した久保やオヤルサバルは落胆しているだろう。
スペイン紙『マルカ』によると、試合後にアルグアシル監督は「怒っている」とし、続けて「勝つ試合をして勝ちきれないのはもう沢山の試合でやっている」とコメントを残していたようだ。また、ソシエダの地元紙『Noticias de Gipuzkoa』は「先発選手と控え選手のレベルの差はますます大きくなり、イマノルですら変化を起こすことが難しいと感じていることを意味している」とバルセロナ戦を評価している。チームもメディアもうんざりといったところだ。
選手層の薄さがここまで大きく響いている原因の1つに、“補強”が挙げられるだろう。今夏新加入の選手で戦力になっているのはトラオレ1人のみ。アンドレ・シウバとアルバロ・オドリオソラは怪我ばかりで、アルセン・ザハリャンはまだ殻に閉じこもったままだ。昨季より総合力が落ちていると言われても仕方がない。
長い時間ペースを握り勝利の予感を漂わせながら、選手交代により崩れて勝ち点を落としてしまう…。バルセロナ戦は、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)・インテル戦の“デジャブ”だった。内容の良い試合は記憶にこそ残るが記録に残らない。ソシエダはいつまでそれを繰り返すのか。
(文:小澤祐作)