サッカー日本代表予備軍「いい判断でプレーしていた」
監督や環境によって激変する選手は少なくないが、紺野はまさにその典型例。類まれな突破力を指揮官が前面に押し出すような使い方をしてきたからこそ、大舞台で異彩を放つことができたのだ。
結局、72分に下がった紺野はMVPに選出されなかったが、2-1の歴史的勝利・初タイトルの原動力になったのは紛れもない事実。「紺野がMVPでよかったのではないか」という声も多く聞かれるほどの強烈なインパクトを残した。
「ウイングとシャドーの使い分けをしながら、いい判断でプレーしていた。これから代表の選考していく上で、彼のようなウイングタイプで、個で局面を打開できる選手は選考の中で非常にポイントになるところだと思います」と視察した日本代表の森保一監督も高く評価しており、また1人代表予備軍が出てきたと見てもいいのではないか。
紺野は上田綺世の1つ先輩で、同い年の三笘薫や旗手怜央らは大学サッカーでしのぎを削った間柄。自分もいつか彼らと一緒にプレーしたいという思いも少なからずあるはずだ。
「代表には入れたらいいですけど、正直、自分の今の立ち位置は全然遠い存在だと思うんで、1つ1つ、今の置かれている立場で積み上げてって、それが代表に繋がればベスト。少しずつその差を縮めていければなと思います」
あくまで謙虚な発言に終始した紺野。FC東京時代の挫折がそんな物言いをさせるのだろう。ただ、昨今は20代後半になって急成長する選手は少なくない。今回のタイトルを引き寄せたことで注目度も上がる中、小柄なドリブラーがどのような軌跡を辿るのか…。
福岡の新たな歴史を作った男の今後が大いに気になる。
(取材・文:元川悦子)
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