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Jリーグ 1年前

挫折と信頼。アビスパ福岡で異彩を放つ紺野和也。転機となった「本当にいい移籍」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

してやったり。アビスパ福岡の狙いは…



 前が井手口陽介と森山公弥の両ダブルボランチの前で中間ポジションに立ち、浦和のマークをかいくぐる動きをしたのも1つのポイント。それが開始5分の先制点につながった。

 GK永石拓海のゴールキックを奈良竜樹が競り、FW山岸祐也が後ろ向きで落としたボールを受けた前は、右のスペースに流れた紺野和也に大きく展開した。紺野は得意のドリブルで持ち上がり、荻原拓也の位置を見て縦に行き、鋭く折り返した。ここに飛び込んできたのが前。酒井の背後からゴール前に飛び出し、右足で押し込んだ。これはさすがの名手・西川周作も防げなかった。

 前の献身的な走りも賞賛に値するが、やはり目を引いたのは紺野の推進力抜群のドリブル突破と精度の高いクロスだろう。

「あの試合の1回目の1対1だったし、(荻原が)左を切ってるなと感じたんで、思い切って縦に行って右でクロスを上げた。中にヒロ君(前)が詰めていたのが見えてたんで、速いボールを通せばゴールになるかなと思って、そこに通したらうまくいってアシストできました。相手センターバックは上のクロスに強いんで、速いボールをGKとDFの間に通すとか、マイナスに送ってシュートというのはチームの1つの狙いでした」と背番号8はしてやったりの表情を浮かべた。

 この1点で浦和のゲームプランは大きく狂った。守備時に[5-4-1]のブロックを敷く福岡を攻略しきれず、逆にボールを奪われてカウンターを次々と繰り出されたのだ。

 そのけん引役となったのは、やはり紺野。ペナルティエリア右側を縦に侵入する場面が目立ち、守備でもハードワークを見せる。荻原・小泉佳穂という浦和の左サイドに対し、紺野、湯沢聖人、ドウグラス・グローリーが並ぶ福岡の右サイドが優位に立っていたのは確か。前半は右からの攻めが大いに光った。

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