なぜ降格の危機から脱することができないのか
けれども、川崎には一発がある。先制点直後の42分、山根視来のスーパーパスに反応したゴミスが右足ボレーで合わせた場面は完全に同点かと思われた。だが、幸いにしてオフサイドの判定。これには古賀も「あれは危なかったですね」と心からの安堵感を吐露していた。
こうして首尾よく前半を1-0で折り返した柏。この調子で細谷ら攻撃陣が追加点を奪えれば、J1残留に大きく前進するはずだった。現にチャンスはあった。というのも、川崎は後半頭から登場した遠野大弥が開始早々の52分、細谷を足裏で削って一発退場。11対10の数的優位に立ったからだ。
その後、ジエゴの左クロスに細谷と山田雄士が飛び込んだ59分の決定機、CKからの3本連続の高嶺朋樹のミドルなど、得点が取れそうなシーンはいくつもあった。細谷もフリーでゴール前に飛び出したが、肝心なフィニッシュを外してしまった。
「自分の課題は明らかに決めるところ。落ち着きや冷静さが欠けているんだと思います」とパリ五輪世代のエースFWは反省しきりだったが、主導権を握りながら勝ち切れないところが今季ラストまで降格危機から脱することができていない大きな要因なのかもしれない。
詰めの甘さをさらに印象付けたのが、川崎の70分の同点弾だ。脇坂泰斗が右に流し、山根が折り返したところに飛び込んだのが橘田健人。ここ最近、強烈なミドルシュートを何本もお見舞いしているキャプテンの同点弾に、柏守備陣は屈する形になったのだ。