遠藤航がボール保持でのクオリティが上がった理由
その要因は主に2つあると考えられる。
1つ目はトゥールーズの前線からの守備の曖昧さだ。リバプールCBがボールを持った際にある程度は寄せに行くのだが、後ろの選手と連動したものではなく、奪いどころを設定できずにいた。そのためジョー・ゴメスとジョエル・マティプの2人のCBが相手FWを自らに食いつかせてからアンカーの遠藤にパスを出すことで、日本代表MFはプレッシャーの緩い余裕を持った展開でボールを受けることができていた。
2つ目はチームに慣れてきたことで向上したプレー判断の正確性だ。グループステージ第2節ユニオン・サン=ジロワーズ戦では、相手からのプレッシャーに焦ってダイレクトで繋ごうとしたところパスをミスしてカウンターを食らう場面があったが、トゥールーズ戦では先述した相手の守備の緩さもあって、一度足元でボールをコントロールしてから右足のインサイドで正確にパスを出せる“余裕“があった。
この“余裕”を生むために欠かせないのが味方選手の位置の確認だ。4分44秒に遠藤がアレクサンダー=アーノルドからパスを受けて、すぐ反転してヌニェスに楔のパスを出した場面では約10秒間に4度も首を振りウルグアイ代表FWのポジションを確認していた。
首振りによってボールを受けた時点で次のプレーのイメージができており、これが一連のプレーに正確性が増した大きな要因だろう。
前にボールを奪いに行ったところをかわされるなど、守備時の判断とポジショニングは伸びしろを残しているが、保持時のプレーに大きな成長が見られたのはポジティブに捉えるべきだろう。直近のプレミアリーグ2試合では出番がなかったが、これから出場機会が増えることを期待してもよいのではないだろうか。
(文:安洋一郎)
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