数字には表れない三笘薫の献身性
長い時間耐えるも失点してしまったアヤックスは後半、ベルフハイスを右サイドに移すなど、より攻撃的に出てきた。その分、ブライトンからすると前半よりも使えるスペースが増加。そういった意味でも、三笘がもたらした先制ゴールの価値は大きかった。
そして53分には追加点をゲット。前に出てきたアヤックスをいとも簡単にかわし、中央でフリーの状態のビリー・ギルモアがボールを持つと、右ハーフスペースのアディングラにパス。そのアディングラがさらに中央へ侵入すると、J・ペドロが動きを止め相手CBヨレル・ハトを寄せ付ける。すると斜めの動きによってA・ファティがその背後を突いてアディングラからのパスを引き出し、最後は冷静にゴール左下隅にシュートを流し込んだ。やはりアヤックスのCBは前にくる守備は強いが、その後の背後へのケアには課題があった。ブライトンはそこを再度突く形で試合を決定づけたと言っていいだろう。
先述の通り、2失点目を喫したアヤックスは完全に自信を失ったか、以降は消極的なプレーに終始。前からプレスに来るわけでもなく、カウンターでゴールを目指すような意識があるわけでもない。言い方は悪いかもしれないが、早々に試合を諦めているかのようだった。
そんなアヤックスを前に、ブライトンは選手交代を交えながら余裕を持ってボールを動かした。もはや勝利は確定したような状態だったが、それでも三笘はフル出場。最後の最後まで相手の背後へランニングするなどアクションを起こし続けていた。ゴールにはつながらなかったものの、アヤックスの守備陣に余裕を与えない意味でも、その献身性は重要だった。
時間はかかったかもしれないが、アヤックスの弱点を見抜き、攻略したブライトン。クラブ史に残る勝ち点3は必然の結果だった。
(文:小澤祐作)