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Jリーグ 1年前

なぜ一発逆転できたのか。町田ゼルビアで輝く鈴木準弥、「本当に辛かった」FC東京での苦悩と教訓

シリーズ:コラム text by 後藤勝 photo by Getty Images

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 今年7月にFC東京からFC町田ゼルビアへ完全移籍した鈴木は新天地ですぐに信頼を掴み、町田のJ1昇格に大きく貢献している。東京では試合に絡めない日々が続いていたが、東京で苦しんだ経験は町田で大いに活かされたという。本人の言葉から、一発大逆転を成し遂げた2023年の紆余曲折をひも解いていく。(取材・文:後藤勝)


「死にそうでした」FC東京時代の苦しみ

V・ファーレン長崎戦でゴールを決めたFC町田ゼルビアの鈴木準弥
【写真:Getty Images】

 この3カ月、鈴木準弥は怒涛のように仕事をこなしてきた。まだFC東京に在籍していた7月2日の練習試合で川崎フロンターレを相手に直接フリーキックを決めた、その20日後の22日には第2登録期間最初の公式戦となるJ2第27節ジェフユナイテッド千葉戦で先発フル出場、FC町田ゼルビアでのデビューを果たした。そこから2カ月後、9月23日の第36節V・ファーレン長崎戦では月間ベストゴールに輝く移籍後初ゴールを決めると、さらに1カ月後、10月22日の第39節ロアッソ熊本戦でJ1昇格決定。精神的に苦しかった東京時代とは天と地の差ほどの開きがある活躍ぶりだ。

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「本当にもう嫌でした」

 鈴木は東京時代末期をこう振り返った。加入初年度の半年こそ4回の先発フル出場を含めリーグ戦8試合に出場したが、アルベル監督体制となった2022シーズン以降の1年半強はメンバー入りに絡めなかった。

 クラブハウスに入って出てくるまで3時間ほど。選手同士は仲がよく、雰囲気は悪くない。しかしいざ練習が始まりグラウンドに出ると、わかってはいても自身がメンバーに入っていないという事実を突きつけられる。紅白戦にすら出られないままに時間が過ぎ、練習場をあとにする時に去来するのは「やっと今日が終わった」という想いだ。そしてすぐに「明日また練習の時間がスタートするんだ」と気づく。自宅は近く、車を運転する時間は短かったが、家族が待つ我が家にどういう気持ちで帰ればいいのかと悩む日々が続いた。

「本当に辛かったですね。チャンスをもらって試合に出たら出たで、思うようなプレーができなかったり。(いいプレーを)そこで出したうえで『なんでオレ、使わないんだよ』と言える状況でも正直なかった。自分でも出し切れなかった、そういう感じがずっと続いていたから。死にそうでした。だから本当に町田には感謝していますし、持てるすべてを出してチームに貢献したいな、って」

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